おもしろおかしくやるんべぇ~ゆとり世代も悪かねぇ~

THEゆとり世代。さとり世代とも言われる世代「ふたば」の見方や考え方、そして日々の学びをまとめたブログ。

「教えるということ」の話。

 

今回読んだ本はこちら。

 

 

立命館アジア太平洋大学(APU)学長、出口治明さんの

「『教える』ということ」という本です。

 

 

「教えるということ」と言えば、大村はま先生が有名ですね。

読んだなぁ。懐かしいなぁ。

新編 教えるということ (ちくま学芸文庫)

新編 教えるということ (ちくま学芸文庫)

  • 作者:大村 はま
  • 発売日: 1996/06/01
  • メディア: 文庫
 

 

 

それでは、出口先生の「『教える』ということ」を読んで心に残ったこと、

考えたことなどをまとめたいと思います。

 

 

教育の2つの目的

 出口先生が、教育基本法が定める教育の目的を解釈し言語化したのが、

 

①自分の頭で考える力を養う。

②社会の中で生きていくための最低限の知識(武器)を与える。

 

 

の2つ。

 

そのために、まずは先人の真似をするところから。

「学ぶ」は「真似ぶ」。

 

 

英国の名宰相、ウィンストン・チャーチルの言葉

 

「自分を含めて選挙に立候補するのは、目立ちたがり屋やお金儲けをしたい人など、ろくでもない人ばかりである。」

「選挙というのは、こういった信用のおけない人たちの中から、相対的にマシな人を選ぶ忍耐のことである。」

「したがって、民主政は最低の政治形態である。ただし、これまで試されてきた王政や貴族政など過去の政治制度を除けば。」

 

 

なるほどなぁ。

 

 

「年金はもらえなくなる」は誤った俗説にすぎない

 

出口先生が、公的年金保険を信頼する3つの理由。

 

①年金は所得の再分配だから

社会保険料は、いわば特別目的税の一種。市民から集めて、働けなくなった人に配る「所得の再分配」。市民がいる限り、集め方と配り方を工夫すれば破綻はしない。

 年金は、税金を集め分配する政府の機能と同じ。

 

 

なるほど。納得。

 

②年金より安全な金融商品は存在し得ないから

→金融機関がいくつか潰れても国は潰れないが、国が潰れたら金融機関も潰れる。

 国より安全な金融機関は存在しない。

 

 

なるほど。納得。

 

③経済成長と良い政府のみが年金を担保するから

→経済のパイが大きくなったら、税率は一定でも、原資が増えるので年金は増える。

 まだ日本は成長できる、投票率を上げて良い政府もきっとつくれると信じているので、年金の将来には楽観的になれる。

 

ん?

経済成長していく前提だけれど、本当に経済成長していくのか、

その辺がちょっとよく分からず、ここは納得いかず。

 

 

ドルコスト平均法よりも儲かる投資方法

 

それは自分に対する投資。

中国語や英語ができれば、より高い給与の職が見つかりやすくなるだろう。

欧米の先進国では、社会人になっても勉強を続け、新しい資格や学位を取ることで、生涯給与を増やすことが最高の投資手段と考えられている。

 

 

これは全くその通りだと思います。

自分に対する投資もしつつ、

応援したい特定の誰かや何かに投資をしていくのも良いと思う(^^)

 

 

エピソードではなくエビデンスで考える

 

パリに遊びに行って帰ってきた友人がこんな話を。

「デパートで何かを買っても、店員はニコリともしないし、包んでもくれないんだよ。それに比べれば日本人の何と優秀なことか」と。

 

それに対し、

「この四半世紀、日本の正社員は2000時間労働で、成長率は1%もいかない。フランスは1500時間労働で、1~2%成長しているよ。」

 

友人はすぐに気づいて、

「自分としたことが、エピソードで話してしまったな。日本人のデパートの店員は優れた仕事をしているのに、マネジメントがなっていないから、マネタイズできない、あるいは生産性の向上に結び付けることができないのだな。だから骨折り損のくたびれもうけで、社会の閉塞感が強まっているんだな」と。

 

労働時間が短ければ短いほど、成長率が高ければ高いほど良い、とは言い切れませんが、

データや統計はごまかすことはできないので、その点に関しては信用できます。

 

信頼度の高い情報を得て、それをもとに自分で考え行動する。

そうした習慣を身につけたいところです。

 

科学的に見ても、父親が子育てをした方がいい

 

女性が出産する際には、脳内で「オキシトシン」というホルモンが大量に分泌される。

オキシトシンは別名「幸せホルモン」「愛着ホルモン」「絆ホルモン」とも呼ばれ、母親は赤ちゃんと深い絆で結ばれる。母親が子育てを厭わないのは、オキシトシンが分泌されているから。

 

一方男性の場合は、オキシトシンは自然には分泌されない。

「子育て」というプロセスを経ることでオキシトシンの分泌が促され、子供に対する愛情が芽生える。

子供がかわいいから面倒を見るのではなく、面倒を見るからかわいいと思う気持ちが生まれる。

 

ここでも出ました、オキシトシン(^^)

 

3歳児神話」は「3歳児デマ」

 1998年の厚生白書より、

 

・「母親と子どもの過度な密着はむしろ弊害を生んでいるとの指摘も強い」

・「欧米の研究でも、母子関係のみの協調は見直され、父親やその他の育児者などの役割にも目が向けられている」

・「特定の者との『愛着』関係が発達することは大切だが、基本的信頼感は、乳幼児期に母親が常に子供のそばにいなければ形成されないというものではない」

・「保育所や地域社会などの支えも受けながら、多くの手と愛情の中で子供を育むことができれば、母親が孤立感の中で子育てするよりも子供の健全発達にとって望ましい」

・「子育てに他人の手を借りずにすべてを自分でやり遂げるということだけが、子ど育てにおける親の責任の果たし方ではない」

 

またホモ・サピエンスの長い歴史を見ると、働けるものが働き、子供はみんなで面倒を見る集団保育で社会性を獲得してきたのだそう。

 

確かに。そうじゃなければ子育てが大変すぎて、とっくに絶滅していてもおかしくないよなぁ。

 

というわけでヒトという種には、「子供を保育園に預ける」方が健全で正しい選択なのだそう。

 

 

 

中学生で会社をつくって社長になり、活動している女性の話。

 

「どんな教育を受けてきたのか」と聞かれると、

 

「お父さんもお母さんも何も言わなかったけれど、私がお菓子が欲しいとねだったときは、『なんでお菓子が欲しいの?』と聞いてきた。そして、なんで欲しいのかを説明できなかったら、買ってもらえなかった。」

 

「なぜ?」と自問自答することで、「自分の頭で考えて、答えを探す」ことが習慣化されたのではないか。

 

これは学校でも大切にしたいこと。

 

 

最初に型にはめなければ、型破りの生徒は生まれない

 

やはり最初は真似をすること。

良いレシピを真似できなければ料理も上達しないのと同じで、

考える力を鍛える時も、優れた考える力を持った先人たちの思考パターンを学ぶことが大切

 

守破離だね。

 

 

人間の向学心や好奇心は18~19歳にピークを迎えるそうで、

このときに学習習慣を身につけておくと、大人になってからも学び続けるそう。

 

塾に通わせて知識を詰め込めば、テストで好成績を上げることができる。 

しかし「分からないことがあったら調べる」「疑問に感じたことの答えを見つける」という本当の意味での学ぶ習慣が身についているか。

 

疑問を疑問のまま残さず、腹落ちするまで調べて、腹落ちするまで考えてみることが大切。

 

一つひとつ、そうそう、うんうんと思うことばかり(^^)

 

 

 大人にできることは、子どもたちに広い世界を見せてあげること

 

学びという姿勢は、テクニックを暗記するだけでは身につかない。自分が腹落ちして見つけるものであって、人に教えてもらうものではないかもしれない。

教師の方にも「自分には教えることができないことがある」という自覚が必要だろう。人間はそれほど賢くない。それなのに人は傲慢になりがちで、「何でも教えることができる」と勘違いをしてしまう。まず、「教室や教科書で教えられないことが山ほどある」と自分の限界を認識した上で、「ではどうすればいいのか」を考えることが大切。

 

「教える」から「学ぶ」にシフトしていかないといけない。日本の教育の問題点は、「自ら学ぶことを、教えようとしていること」

 

大人にできることは、広い世界を見せること。自分がロールモデルとなること。

あるいは知識の一部を分かりやすく教えること。それくらいしかできないのではないか。

 

「自ら学ぶことを、教えようとしている」

なるほどなぁ。確かにそうだ。

 

 

オンライン教育のデメリット

 

 

オンライン教育をしてみたところ、あまり上手くいかなかったという過去から。

 

なぜオンライン教育が上手くいかなかったのかを考えてみると、おそらく、教育に必要なものは、学ぶべき情報内容だけではない。

「その先生から学びたい」というモチベーションも必要なのではないか。

 

オンラインでの授業でも実績のある先生は登場するが、インターネットやYouTubeだと、生徒は畏怖を感じにくい。近づきやすさと近づきがたさのバランスが必要なのに、オンラインではそこが表現できない。

 

オンラインでも知識を学ぶことはできるが、人間はそもそも怠け者なので、ひとりで勉強を続けることは難しい。でも仲間がいたらお互いに牽制し合うし、議論し合うので、勉強をするようになる。要するに、ピア・ラーニング。

 

これは自分の経験からも納得。

ネット上にはたくさんの教材があふれていて、独学も十分可能。

しかしそうやってモチベーションを維持しながら勉強できる子って少なくて、

人との関係や環境の効果に頼らざるを得ないところも大きいなぁと。

 

 

18歳人口が激減する中、大学はどうすべきか

 

たしかに国内だけを見れば18歳人口は減っている。しかし世界に目を向けると、人口は増えていて、中産階級も増加している。

 

日本企業の多くが、人口減少と国内市場の縮小を理由に海外に進出したように、

「外国の大学のMAをする」

「外国に分校をつくる」

「留学生を受け入れる」

などの選択肢がある。

 

APUのように、グローバルな人材を輩出しながらローカルにも貢献するおもしろい大学をつくれば、全国から、全世界から人は集まってくる。

 

日本の大学の、海外分校かぁ。

おもしろいなぁ(^^)

 

 

高校を「変態コース」と「偏差値コース」に分ける 

 

「偏差値コース7割ぐらい」と「変態コース3割ぐらい」に分けたらどうか。

偏差値に興味のある生徒は教科書に沿って学力を伸ばせばいい。

偏差値に興味のない生徒は自分の好きなことを徹底してやればいい。

 

 

自分の好きなことがあって、それに徹底的に取り組める子というのも、案外少ない。

だからそういう子は、これまでの流れとは違う道を選択し、新たなものを創り上げていってほしい。

その創り上げたものを増やしたり広めたりするには、偏差値タイプの力が必要。 

どちらのタイプもいていい。どちらのタイプも輝ける場があることが大切なんだろうなぁ。

 

 

おわりに

 

あとがきに書かれた出口さんのこの言葉が素敵だなぁと思い、

引用して終わりにします。

 

僕は、昔から川の流れに流されていく人生が一番素晴らしいと思っています。僕が日本生命に入社したのも、ライフネット生命を立ち上げたのも、APUの学長に就任したのも、さまざまな巡り合わせや偶然によるものです。

 

僕はいまだに、自分の適性がよくわかりません。何に向いているのか、何がやりたいのか、よくわからない。だったら、川の流れに身を任せて、着いたところでベストを尽くせばいいだけです。

 

この本全体を通して、著者の意見に納得、賛同することばかりでした。

 

私も明確に「これがやりたい」というものがあるタイプではなく、

その場の流れがきっかけで、何かを始めることが多いです。

「川の流れに身を任せる」という感覚が凄く共感できました。

 

 

「教えるということ」について、改めて考えさせられる一冊でした。

 

おもしろおかしくやるんべぇ♪