勤務校でもいよいよ工事に向けて準備が進むなど、
現実味を増してきたGIGAスクール構想。
児童生徒一人一台の端末を用意し、高速大容量の通信ネットワークを整備するものです。
整備されても、今の授業の枠組みの中で、うまく活用するのは厳しいでしょう。
ただでさえやることぎっちぎちなのに、そこに新たにICT機器を活用する場面を設けなくてはならない。子どもも教員も使い方に慣れていません。それだけの時間的な余裕があるでしょうか。
ICT機器を使わなくてもできることや、むしろそこは紙とペンでやった方が良いことに、わざわざICT機器を使う必要は無いと思います。
自分の考えを端末に記入し、大型モニターで共有するなんて活動がありますが、
果たしてそうした活動をする意味がどれだけあるでしょうか。そうした場面が将来どれだけあるでしょうか。
未だに既存の授業スタイルから抜け切れていない、既存の授業スタイルにICT機器を当てはめようとしているように感じます。
これだとICT機器を活用できる場面が少なくなってしまいます。
これはアナログ人間な私だけかもしれませんが、
物事を思考するときは、紙とペンの方がやりやすいです。
今こうしてパソコンで文章を作成していますが、途中でよく分からなくなります。
特にプレゼンテーション資料を作る時なんて、いきなりパソコン上で作成するのは私には無理です。
一度マンガのコマ割りみたいに、どんな内容を載せるか紙でざっと構想を練って、
思いついたことをペンで書き足して、後からパソコン上で資料を作成する、という具合にやっています。
アナログな紙とペンの方が優れていることは何かを考えずに、何でもかんでもICT機器を使ってやろうとするのも難しいと思います。
(スタートからICT機器を使う子供たちは違うのかもしれないけれど)
ICT機器を上手く活用するには、授業そのものをがらっと変える必要があると思います。
現在の評価に合わせ「知識・技能」と「思考・判断・表現」の2つに分けて考えてみると、
「知識・技能」
例えばたし算やひき算の筆算ができるとか、歴史の用語を知っているかとかについては、クイズゲーム的にネット教材を活用してしまえばいいと思います。
高校生の時、授業中に暇だったので電子辞書の漢字テストみたいなのをやっていたのですが、そんな感じです。
そして教習所の効果測定みたいにテストをして合格点だったら「知識・技能」に関してはOK!でいいのではないでしょうか。
こうすれば身に付いている子が周りに合わせて必要以上にプリントで計算練習をしなくて済みますし、身に付いていない子は似たような問題に繰り返し挑戦することで定着を図れるのではないかと思います。
これこそが個別最適化なのでは。
ある到達点は設定するけれど、そこへの向かい方はそれぞれ。これは現状の授業スタイルだとなかなか難しいと思います。
自由に取り組めれば、早く終わっている子は、次の内容に進めるという良さもあります。各単元が一つの単位のようになる感じ。できる子はどんどん先に進めばいい。そのうち先の学年の内容に進む子も出てくると思います。単位式の飛び級みたいな。
みんなが同一歩調だと、お互いを気にかける余裕がなかなかできません。45分なんてあっという間です。先に進んでおいて余裕があるからこそ、進みのゆっくりな子のことを気にかけられます。
あとはこうした教材を誰が作成するのか。
デジタル教科書が、こうした問題集的なものになるのか、
既に開発されているネット教材を活用するのか、
教材会社が今後開発していくものを活用するのか、
一人一台の端末と校内Wi-Fiが整備された時、
こうやってICT機器を使って取り組める教材とテストがあればすぐにでも導入できる。
これを授業内で取り組んでいけば、「知識・技能」に関しては、今より理解度が上がる気しかしないなー。
次に「思考・判断・表現」
これは今も実践していたりしますが、単元レポートの作成とかで良いんじゃないかなぁ。
例えば理科ならば、仮説を立て、それを検証する計画を立てて観察や実験を行い、結果をまとめ考察する。それをレポートにまとめて提出。
前にも書いたように、私は思考するのは手書きの方がやりやすいので、レポートは手書きでもいいんじゃないかなと思います。教科書を丸写しするのではなく、イラストを加えたり、自分なりの解説を書き加えたり。完成したレポートはそのまま下級生が使える資料にもなります。レポートを写真で撮り、データ化して保存。これでデジタルポートフォリオも完成。
やりたい子はレポートを端末上で作成してもOK。ただそれだけの時間的な余裕があるかなー。
私みたいに一度紙で思考する場合には時間が足りないけれど、これからの時代の子供たちはそれが一気にできるかもしれない。
ゲーム的に知識・技能を高める学習にしても、
思考・判断・表現を深めるためにレポートの作成をするにしても、
時間も場所も問われません。
キリが良いところまでと終わりを自分で決めることができるし、
集中力が切れたら他のことに切り替えるのもアリです。
算数をやっている子の隣で英語をやっている子もいるかもしれません。
各教科の各単元が単位のようになったら、違う学年の子が同じ課題を学び合っているかもしれません。下の学年の子が上の学年の子に教えてあげる姿も見られたり。
教室でやっても良いし、図書室でやっても良い、
今のような教室よりも、海外のように、先生がいる教室に子供が行く、そして相談したい先生のところに行って構わない、という方が良いかもしれません。
感染症が心配だったり、何らかの事情で通えなかったりする子は、オンラインで繋がることもできます。
そうなったら各学校の選び方ってどうなるのだろう。
それぞれの学校が特色を打ち出し、子どもと保護者が自分にあった学校を選択する、というようになるのかもしれません。
教師の仕事は、自分の教室に来た子の相談に乗ったり、
それぞれの学習の進捗状況を確認して適切にアドバイスをしたり。
担任という枠組みはどうなるのだろう。
職員のネット上にそれぞれの子供の情報が共有され、
その都度書き加えて更新していく、という風になるのだろうか。
同い年の子が1年間同じ部屋にいるというのはなかなか不自然。
流動性の少なさに、他者と比較した劣等感や妬み嫉み、同調圧力の高さがいじめや不登校などの問題を生んでしまうのも無理もない状況。
端末さえあればどこでもできるので、好きな場所で、やりたい人と一緒にできる。逃げ場がある。
GIGAスクール構想を最大限に生かすならば、自然と今まで通りの授業や学級・学校の枠組みでは通用しなくなる。
教科指導力、学級経営力。これまで高めようと思ってきた職能が、無駄になるわけではないけれど、一気に崩れ落ちるような価値観の変化。
これからどんな能力を高めていけばよいのか、全く先が読めない。
変わっていく期待もあるけれど、いやー、不安な気持ちも結構大きい。
ただ今回の構想にかけた予算はすごい額。
現状のシステムにあてはめるだけなら、せっかく配備された端末なのに、あまり活用できない。やったけれど大して変わらなかったでは通用しないと思う。
どのようにICT機器を活用できるか、
使う方が良い活動とそうでない活動の見極め、
これからの学校を支えるのに必要な職能とは、
そのあたりを今後も考えていきたいなぁ(^^)
おもしろおかしくやるんべぇ♪