「これ、入り方として悪くないんじゃないの!?」
そう思ったので提案したいなと思います。いただいたコメントが学びとなるので、是非お待ちしております(^^)
まずは従来の授業の流れから
算数を例にします。足し算の筆算。
基本的には「23+34ってどうやるんだろう」的な問題になると思います。
23を20と3に分け、34を30と4に分ける。
その後一の位同士を足すと7、十の位同士を足すと50。合わせて57。
これを筆算に表すと…という具合。
ここまでを一緒に考えて、それをノートにまとめる。
最後に練習問題をして終わり!かな。
計算の過程や筆算のやり方を考える場面は、
- 子どもに発言させそれらを繋げながら方法やまとめを導出する。
- グループにホワイトボードを配って考えさせ交流させ方法やまとめを導出する。
などいろいろなやり方があります。授業全体の大枠はあまり変わりません。
私がこの流れに疑問をもったのが、
- 発言が一部の子に限られてしまうことで、理解しきれていないのにまとめになって置いていかれてしまう子の存在。
- 例題の一問にかける時間が長く、研究授業などでは練習問題に入れずに終わる。演習の時間もきちんと確保したいということ。
そこで取り入れ出したのが次に説明する方法。
演習とまとめを入れ替える
まずは例題の一問を一緒に解きます。なるべく時間をかけず、簡潔に。この段階では全員が理解しきれていなくても、2~3割が理解できていれば大丈夫かと思います。本当はこの場面から子供たちに委ねたいのですが、「最初は一緒に確認した方が安心できる」と子供に言われたのでそうしてます。(次第に必要なくなっていきますが)
その後、先に練習問題を解きます。一問例題を解いているので、子供どうし相談し合いながら解けます。そして最後にまとめです。「23+34のような足し算を筆算でやる方法」を一人ひとりノートにまとめ説明し合います。最後に誰かに代表として説明してもらって終わり!
先に練習問題を解くことで演習の時間が確保できました。筆算はツール。やり方を考えるよりもできるようになる方が簡単です。そして最後には自分の言葉でまとめをするので、理解しきれずに置いていかれる心配がありません。また練習問題を解き合う中で相談し合うということは、その会話の中で何度もやり方を声に出していることになります。ただ教科書通りのまとめをするのではなく、自分が理解する時にどう考えたのかをもとに、自分の言葉でまとめを導出することができます。
ただこの流れにも問題が出てきます。それは、
- 塾などで学習していてすでに理解している層がいると言われているが、必ずしもそうとは限らない。
- 塾などで学習している子や教科書を読めば理解できる子であっても、問題を解くのに時間がかかることもあり、分からない子が相談できずスタートが遅れてしまう。
- 問題を解いて知識や技能は身についたとしても、自分の言葉でまとめ説明する段階まで到達できない児童が出てくる。
- 反対に速く終わった子は暇を持て余す。
分からない子が置いてきぼりになってしまい、まとめまでいききれない状況はただちに改善しなければなりません。自分のことで手いっぱいで周りに目を向けられない状況では、全員達成もできなければ成績アップにもつながらず、「みんなが」という意識が薄れてしまいます。一緒にスタートし、相談されたら一度自分のことを中断して相談にのれる。そんな雰囲気になっていればいいのですが、それもなかなか難しい…
また速く終わった子は何をするか。追加のプリントをやることもできますが、早く終わった子にとっては簡単すぎます。そもそも必要ないかもしれません。応用問題を出したこともありますが、これではますます学力差が広がってしまいそうで悩みました。また速く終わらせれば追加の問題があるので「早く終わらせない方がマシ」。そう思わせてしまう心配もありました。
そこで予習を薦めました。単元の計画表を配っているので、次時の課題は分かります。次は「27+38のような足し算を筆算でやる方法(一の位の計算が十の位に繰り上がるパターン)」です。今回の学習を生かせば、何となく解けそうです。解いておくことで次時のスタートの段階には、ある程度理解できている子がいます。こうすることにより余裕をもつことができ、相談にものれます。
みんなが同時にスタートを切れるようになります。速く終わった子の説明が、悩んでいた子へのヒントとなります。一つひとつの活動が効率よくなり、少しずつ先へ先へと進む子が増えていきます。そこである時気づきました。
「あれ?みんなもう予習に入ってるじゃん!?」
そこで反転学習×『学び合い』
家で予習をし、学校では議論や演習を中心に行う反転授業。とても効率の良いやり方だと思います。しかし「うーん…」と思うところがあります。それは、
「自宅で予習してきていることが前提」ということです。
家に仕事を持ち帰らせているのと同じと考えられます。習い事で忙しい子もいますし、そもそも家庭が学習できる環境ではない、そういう子もいます。全員が苦でなく予習して来られるのならばありだと思います。またそういう学校だという認識で選んで入学してきていれば問題ないと思います。でも公立の学校の教員としては「授業の中で最低限の力は身につけさせたい。」そう思います。
そこで先の話に戻りますが、家ではなく授業の時間に予習をしてしまえばいいのです。一つの授業の時間を大きく二つに分けます。こんな感じです。
最初から「23+34のような足し算を筆算でやる方法」を一人ひとりノートにまとめ説明し合います。練習問題はすでに前時の終末に解いてあります。相談し合いながら解いてみて、何となく理解しているかなという具合で十分。まだ予習の段階なので完璧でなくて構いません。自分の言葉でまとめ説明することによって理解できればいいのです。
練習問題を解き終わっていない子は、続きからスタートです。理解がゆっくりな子は、練習問題を解くところからスタートです。もしくは先にまとめをしてしまっても構いません。予習して理解できている子はさらに次の予習「27+38のような足し算を筆算でやる方法(一の位の計算が十の位に繰り上がるパターン)」をやってしまえばいいです。それでも時間が余ってしまったら、ここは追加のプリントの登場ですかね笑
そして授業の真ん中か後半あたりで一度区切りを入れておき、誰かに説明してもらいます。(この流れでの学習が軌道に乗ってきていれば、もうこの頃にはわざわざ全体で確認をする必要もなくなってきていると思いますが)これでまとめは終わり。ここまでが前半。
授業の後半は各自次の予習を進めます。理解しきれていなかった子は相談しながら解決させ、最後にはちゃんと自分の言葉でまとめられるようにします。チャイムが鳴ったら終わり。この時間のまとめはもう終わっているので、最後はオープンエンド的な。次の時間はこの続きから各自スタート。という感じ!
理解の速い子は自分のペースでどんどん先に進むことができます。反対に理解がゆっくりな子にとっても、問題を解いている時に速い子がまとめや説明をしているので、説明したい側と聞きたい側とで両者のニーズが合い、同時に学習を進めることができます。本来なら予習を進めていたい授業の後半に、まだ自分のまとめをしていることになるかもしれません。でもこれは相当ペースのゆっくりな子です。この時、ペースの速い子がしていることは予習なので、すぐに中断し説明を聞いたりアドバイスしたりできます。こうして時間内に全員が課題を達成することができます。
ゆっくりな子と表現していますが、従来のやり方を思い返してみてください。授業の前半で問題を解き、後半でまとめをする。別にゆっくりではないのです。さすがに従来の速いペースの子と同じとまではなりません。ただ「その時間に達成したい課題が終わらない」という最悪の事態を懸念しなくて済みそうです。
今回は算数で例を挙げましたが、どの教科でもいけます。例えば社会。単元の最初の時間は挿絵を見て気付きを共有し、学習課題を立てて終わりというのがスタンダード。その後、次の時間に必要な知識を先に押さえてしまえばいいのです。国語もそう。次の段落を先に読んでおいてしまえばいい。
1時間の中で完結させようとしがちです。確かに端から見てもその方が綺麗に終わりますから。しかし短時間でサクッと終わったものほど、意外と記憶に残らない。短期記憶ってそんなものです。
逆に今回紹介したやり方は見た目的にはぐちゃぐちゃです。最後は各自の進んだところまでで終わり、スタートも各自バラバラ。しかし中途半端に終わっているからこそ、次の時間の最初には「あれーどうやったんだっけな?」と思い出す必要があります。形だけの前時の振り返りではなく、必要性のある前時の振り返り。一回やったことを忘れてそれを思い出す。その方が記憶にも残りやすいように思います。
いきつく先は
速く進む子はというと、この段階には次時のまとめも終わってしまっていることでしょう。2時間で3時間分の課題を終わらせる。そんな具合です。
もうお気づきの方もいらっしゃるかと思います。一定の子が自分のペースでどんどん学習を進められるようになってきたら、単位時間ごとの『学び合い』は終了。授業時間内での反転授業×『学び合い』は、
単元『学び合い』へのスムーズな接続でもあるのです。(ちょっと強引かな…?)