かつて読んだことはあったが、読み返してみると感じることが違う。
今回は当時の時代背景とか、太宰治の身の上のこととか、そうしたものを踏まえて読んだ。
世間に馴染めず、人前ではとり繕い、胸中では複雑な想いを抱いていたのであろう太宰治。しかし彼には繋がっている人がいた。薄くとも表面的であろうとも、頼れる人がいた。だから悩みもがきつつも生き続けることはできていた。
今はどうだろう。繋がりがどんどんなくなっていく。各家庭が孤立していて、自分たちのことで精いっぱい。太宰治のような人であっても生きていけた昔の方が、今よりある意味恵まれていたのかもしれない。
やはり関係性が弱くとも、多様な人と繋がれることは重要だと再確認させられた。社会や学校、フィットしない人もいる。ただそうした人こそ繋がりをもつことができていれば、生きていける。そうした仕組みを広げねば。